梁石日『闇の子供たち』 ★★★☆☆
タイの幼児売春、臓器売買の実態を描いた作品だ。梁氏が、自らの体験をベースにした私小説のみならず、広く題材を求め、またそれを徹底的に掘り下げて描ききっているところに、作家としての矜持を感じた。発展途上国の現状は、この日本に暮らしていると意識して情報収集しない限りは目にすることも耳にすることもない。
テレビをつければ絶え間なくお笑い番組が流れ、街に出れば流行を身にまとった若者たちが歩く。それぞれに悩みは抱えているのだろうが、幼くして売春婦として売り飛ばされ、絶え間ない虐待の果てにAIDSに感染し、生きながらゴミ捨て場に廃棄される境遇とは比べようもない別世界に生きているのが現実だ。その別世界をいかにして知り、また知らしめるか。
その手段は、報道だけではない。例えば梁氏は小説化するという形でそれを具現化しようとして、あえてこうしたジャーナリスティックなテーマを題材にしたのだろう。私は日々を安穏と暮らすだけで、なにひとつ働きかけてはいないし、またしようともしていない。無知もまた罪のひとつとは、よく言われることだけど、改めてそんなことを自分に重ねて思った。
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