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海堂尊『チーム・バチスタの栄光』 ★★★★★

いやー。おもしろかった。ベストセラー入りしているのは知っていたけれど、医療がらみの作品は、自分自身の仕事を連想することから敬遠していた。しかし、たまたま美容院に向かう道すがら、施術中のヒマつぶしの種を探しにBOOKOFFに入ったときについつい衝動買い。読み始めた途端、なぜもっと早く読まなかったかと後悔した。あらすじは↓のとおり。

東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。 (Amazonより)

なにがいいって、キャラクターがすばらしい。どの登場人物も個性にあふれていて、主人公はもちろんすべてのキャラクターが魅力的だ。「このミステリーがすごい!」で審査員満場一致で大賞に決まったというのもうなずける。医療現場の設定もいやにリアルだな・・・・・・と思ったら、執筆者の海堂尊さん、現役のドクターとのこと。なるほどと思う反面、ここまでエンタメに徹した作品を、本業のかたわら楽々仕上げるなんてすごすぎると驚いた。天も気が向いたときにはニ物を与えるのね・・・。

ちなみに医師は、理系の仕事と思われがちだが、実は文章のうまい人が多かったりする。論理的思考が求められる上、日ごろカルテやら論文などを書きなれているせいかもしれないが、でもしかし・・・。これほどの文才を「趣味」として持っているなんて絶句してしまう。いや、むしろ「趣味」だからこそ、こんな風に自在にキャラクターを遊ばせられるのかもしれない。読んでいてとにかく心地よいのは、作者自身も楽しんで書いているのだろうなと思えるキャラクター設定の自由度の高さと、それぞれのキャラの脚色されていながらも生き生きと躍動する人間的魅力だ。「名作」とされる小説に求められるある種の深刻さが薄いということは言えるかもしれないが、それでもこのキャラクターたちの活力あふれる姿には魅了される。久々に実力派の作家に出会えてうれしい。今後、書店でこの作家の作品を見つけたら問答無用で即買いしようと思う。

そうそう。以前から不思議に思っていたことをひとつ。私は文庫本の編集をやったことがないので、よくわからないのだが、最近、さほど長編ともいえない作品が、わざわざ上下巻に分けて出版されているケースをよく目にする。これってやっぱり販売収入増を目的としているんだろうか? おもしろい作品ほど、2巻や3巻組になっているような気がする。編集会議で「この小説はぜったいに売れ売れだから、上下巻に分けて出そうぜ!」といった会話が展開されているんだろうか。個人的には、価値ある作品にはそれなりの対価を支払いたいと思っているので異存はないのだけれど、なんとなく気になる。

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